鬼社長のお気に入り!?
 勝負に二度も三度もない。私は四つん這いになってうなだれると、八神さんの不敵な笑いが追い打ちをかけた。


「さて、寝るか。明日、朝早めにここを出て俺は一旦事務所に戻る。お前は好きにすればいい」


 八神さんがテーブルに飲み終わったグラスを置くと、勝者へ与えられるベッドでそのまま寝るのかと思いきや、ソファにごろりと転がった。


「え? 八神さん、ベッドは八神さんのものですよ?」


「いい、お前がベッドで寝ろ。よそのベッドじゃ眠れないから」


 よそのベッドじゃ眠れないのにソファだったら眠れるの――? 変な八神さん、ん? もしかして……私に気を遣ってくれてる……とか?


「いやいや、八神さん! ちゃんとベッドで寝てください。私はいいんですよ、どうせ男ですし、女を捨てて私がソファで寝ますから!」


 グイグイと無理やり八神さんを引っ張ってベッドへ寝かそうとするが重い。
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