鬼社長のお気に入り!?
 桐生さんに八神さんを馬鹿にされて、いてもたってもいられなくなった。あんな男に八神さんを貶す権利なんかない。そう思ったら手が出ていた。八神さんを傷つけることは許さない。そんな思いでいっぱいだった。


 どうして――?


 八神さんは意地悪だし、傲慢で不遜で嫌な上司なはずなのに、それと同じくらいにもっと八神さんのことを知りたい、一緒にいたいという想いが並行する。


 もしかして……私、八神さんのこと好きになっちゃったの――?


 わからない。全然優しくないし、時々気を遣ってくれることもあるけれど、どうしてこんな不可解な男が気になってしまうのか自分でもわからなかった。


「ガソリン入れてくか、ちょうどこの通り沿いにあるからお前は中で待ってろ」


「あ、はい」


 ひとりで考え事をしていると、不意に八神さんに声をかけられてはっとなる。


 八神さんの運転する車は左折してセルフのガソリンスタンドに入っていった。

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