鬼社長のお気に入り!?
「あのさ、今夜はとことん飲もう! 朝まで付き合う!」


 美智はうんうん、と頷きながらグラスジョッキを片手につき出してきた。


「そ、そうだね……美智はこの話し知ってたの?」


「知るわけないじゃない、今聞いてびっくらこいたわよ」


 いまだに信じられない……。嘘だ……桐生さんが結婚するなんて――。


「うっ、うぅ……」


 だめだ。下を向いたら涙がこぼれる。でも泣いてる顔なんて誰にも見られたくない。私は畳んだおしぼりに思い切り顔をうずめ、深呼吸すると顔をあげて一気に美智から差し出されたビールを飲みほした。
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