鬼社長のお気に入り!?
 今日は水曜日、あいにく普通に会社に行かなくてはならない。飲み会に行くために持ち越した仕事もある。
 私に伝えたいことって、婚約のことだったんだ。変に想像して浮かれていた自分が馬鹿みたいだ。あの時の私に言いたい、「馬鹿を見るよ」と。


 落ち込んでいても仕方がない。私はとりあえずシャワーを浴びるために身体を起こした。


「痛っ……」


 桐生さんの婚約発表のあと、ヤケになってどれだけ飲んだかわからない。ガンガンする頭を抑えつつ立ち上がると、実家から届いた手紙に目が留まる。


 こんな状態で親の小言なんか聞きたくないな――。


 そしてまたその手紙は開けられることなく後回しになってしまった。
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