鬼社長のお気に入り!?
 通勤途中の電車の中釣り広告にでかでかとソニックビューティーが宣伝されている。べつに使わなくても綺麗じゃないか、と憎まれ口をぼやいてしまいそうなくらいの美人な女優がソニックビューティーを片手ににっこりと笑っている。まだエステなんて必要ないでしょ? とチクリと言ってしまいそうなくらいの若い女子高校生がキャピキャピとソニックビューティーを話題にして喋っている。


 全てが悪に見える。


 昨日まではこんな光景も嬉しくて心が弾んでいたのに、今の自分は醜い。心の中まではソニックビューティーじゃ綺麗になれない。


 会社に着いて化粧室に行き、自分の顔をもう一度見てみる。むくみまくって目も腫れている。懸命に施した化粧もまったく意味がなかった。


 帰りたい――。
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