鬼社長のお気に入り!?
 夕方頃になって眠気がピークに達してしまい、仕事にも集中できなくなったため、屋上で気分転換することにした。


 渋谷の街が一望できるこの場所は私のお気に入りの場所でもある。さっきまで青々とした空だったのが今はうっすらとオレンジがかっている。


 日が短くなったなぁ。もう秋だね――。


 少し冷えた風がさらっと肌をなでると、急に寒くなってきた。思い切り伸びをして、仕事に戻ろうと踵を返した時だった。出入り口から数人の男性社員が屋上に入ってきて、ちょうど物陰にいる私の存在に気づかずに煙草に火を点け始めた。その中に桐生さんの姿を見つけて声をかけようとしたが、桐生さんの結婚話しになってつい出て行くタイミングを逃してしまった。
< 64 / 367 >

この作品をシェア

pagetop