鬼社長のお気に入り!?
「言っておくが、お前が桐生電機で培ってきたセオリーはここじゃ通用しないって事、覚えとけよ? そのプライドと自信がどこまで続くか見ものだな」


 そう言って八神さんはどこかで見たことのある美顔器を、整ったフェイスラインに沿ってグイグイと転がし始めた。


「あっ! それは、ソニックビューティー!?」


「あぁ、なかなか使えそうだから買ってやったぞ」


 え!? な、ななななに……? 誰なのこの人――。


「もしかして、私をここに入れるために偽りの顔を……」


「お前ちょろいな、騙される方が悪い。まぁ、せいぜい頑張りな」


 八神さんはニヤリと笑って私の履歴書をローテーブルの上に放った。


「そ、そんな……ことって――」


 アナタはあの時のジャントルマンさん……ですよね――?


 心の中で何度もそう問うが、私の目の前にいるのは、“紳士”という仮面をかぶった無慈悲で傲慢な鬼社長だった。
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