鬼社長のお気に入り!?
「それで、美智の方はどう?」


 それとなくその後の桐生さんが気になって聞いてみると、電話口の向こうから思いため息が聞こえた。


『それがさぁ、聞いてよ。桐生さんさ、あんたがいなくなってから仕事に追われてるみたいで……機嫌が悪いったらないわ』


 今まで私がなんでもやってきたんだもの、それを請け負う人がいなくて困ってるんだ。以前の私なら今すぐにでも助けてあげたいと思うだろう。けれど、今の私にそんな気は生まれなかった。


『頼んでた書類がなかなかできなくて何回も部下に催促してたけど、あれって桐生さんがやるべきことだと思うのよね~無駄に仕事増やさないで欲しいわ』


 それから美智の愚痴を長々と聞いて、これから新しい会社で頑張る旨を伝えると、美智は「安心した!」と言って電話を切った。


 明日から私の新しい門出。それをひとりで祝うべく、私はコンビニで先ほど買っておいた缶チューハイのプルタブを引いた。
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