海の底の君へ。―天国の君へ―
【 マナ先輩 side 】
一瞬のことで
何が起きたかなんて分からなかった。
紫夏ちゃん…?
ねぇ、なんで…なんで私は
無理矢理にでも止めなかったの?
ポロポロと涙が出てくる。
私は…先輩なのに。
ちゃんとしないといけないのに……
そう考えるだけで涙は溢れてきた。
周りの子はみんなガヤガヤしてる。
とにかく聞いてみないと。
そう思い、紫夏の基の子に話を聞く。
「萌、ゆあ、真里佳…」
「「マナ先輩っっ…」」
みんな号泣しながら自分を責めている。
私はそんな後輩をギュッと抱きしめた。
「大丈夫。
紫夏はそんな弱い子じゃない。」
「でもっっ…」
「うちらが信じなかったら、どーするの!
絶対平気!
よし、話聞かせてくれる?」
そういうとみんなコクコク頷いてくれた。
話を聞くと、
萌がスポット、ゆあと真里佳がベース。
地面から上がるときにゆあが失敗して
上手に真里佳はサポート出来なかったらしい。
そしてバランスを崩しているのに
紫夏はスイッチをしてしまったんだ。
「ウグッ…まさかっ…紫夏がスイッチ…ヒック
しちゃうなんて思ってなかったから…スン…」
だから萌はキャッチができなかったのか。
でも万が一の時もスポットはキャッチを
しないといけない。
それかスポットの役目。
でも今は、そんなこと言えなかった。
「話してくれてありがとね。」
そう言ってもう一度、
彼女たちを抱きしめた。