海の底の君へ。―天国の君へ―


「ごめん、驚かせた?」





長身の彼はニコッと笑った。





―――あ、えくぼ…





私にもえくぼがある。


頬の真ん中に深くへこむえくぼ。


少し顔つきも自分に似ているような気がして。


彼に不信感は持っていなかった。





「同い年ぐらいかな?」





彼は笑顔で私に聞く。





「私は15です」





「あー、じゃあ俺のほうが年上だ。


俺17だから」





「先輩ですね」





「そうだね


俺、研李っていうの。よろしく」





「紫夏です、よろしくお願いします」





「おう、よろしく


じゃ、またどこか出会えたら。」





自己紹介が終わると彼は笑顔で去っていった。


そそくさと出て行ってしまったので


返事をする間もなかった。


唐突に出会って、そのまま去ってしまった。


私服だったから誰かのお見舞いとかだったのかな…?








――これが彼との初めての出会いでした。
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