泣いてないし、泣かないし
順番が私に回ってきて歌い終わると、
拓哉くんが
「梨花は声可愛いけど、音程ズレてる(笑)?」
と言ってた。
ぎくっ、痛いところついてくるな。
そうです!私は音痴なんです。

「うるさい!私は楽しく歌えればそれでいいの!」

「聞いてるのも楽しいよ。笑えて。」
小声で毒をはくなよ。仁くんよ。

さっきから、櫻子と拓哉くんはなかなかいい感じ。
お互いのグラスに入った飲み物を交換したりしている。
うう、櫻子このままじゃほんとに、くっつくよ。さすがだよ、狙ったら絶対しとめる。櫻子らしい(笑)

「ちょっと、私、トイレ行ってくるね!」

トイレから出て歩いていると、仁くんが部屋から出て歩いてきてくる。

「仁くんもトイレ?」

「いや、拓哉が櫻子ちゃんに話したいことあるから、2人きりにしてほしいってメールきてさ、ほら、これ!」

「ほんとだ!2人きりにしてってもしかして?」

櫻子がいいだすならともかく、拓哉くんからって、これはもう付き合うちゃうんじゃないかな?

「うん。拓哉ちゃんと、自分から告白するって。だから、梨花の荷物も持ってきた、はい。」
仁くんが私のスクールバックを渡してきた。
「ありがとう!最近いい感じだなとは思ってたけど、拓哉くんが櫻子のこと好きになるとは思わなかったな。最初なんてすごく嫌がってたし。」

「なんか、突き放しても粘り強いとことか、諦めないで一途に真っ直ぐなとこに惹かれたらしい。」

確かに、櫻子はいつも真っ直ぐ。自分に正直。そんなとこ、ほんとは憧れてるし尊敬してるんだよね。本人には絶対言わないけどね。

「そっか、櫻子ほんとに良かった。応援してたから。明日からうるさそうだけどね(笑)」

「たしかにな。ね?今からさちょっと時間ある?」

「うん。まだカラオケいるつもりだったから全然あるけど?」

「妹の誕生日プレゼント選びたいんだけど、良かったら付き合ってくれない?」

というわけで、私たち2人は
一駅先のショッピングセンター向かった。
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