bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-


始末書をPDFに落とし込み、本郷主任と部長のパソコンに送信する。


もう冷めてしまった甘ったるいコーヒーを一気に流し込み、私はため息を1つつく頃、本郷主任は私が送信した始末書に気付いたようで、チラリとこちらに視線を送ったから、私は慌てて姿勢を正して、軽く会釈した。





その視線に私は昨日のことが鮮明に蘇ってくる。

「安藤、お前今日のこと忘れろよ」




ぶつくさとぶっきらぼうに呟いて抱きしめられたこと。


本郷主任のスーツから匂った甘いムスクの香水と煙草のほろ苦い匂い。


本郷主任に抱きしめられた感触。


腕の中で盗み見た、少しだけ照れ臭そうな横顔。




それらが急に思い出されて、胸が高鳴るのが自分でも分かる。




自分でも気付き始めているこの想いのせいで、胸が急に苦しくなってきて私は逃げるように会社を後にした。

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