bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
なんだか急に恥ずかしくなって、一気に野菜炒めを頬張った。


香奈子は圭吾の隣でくすくす笑っていたから、ますます恥ずかしくなった。


「今のは聞かなかったことにするね。でも、ひかりには7時に来なくてもいいって伝えるからね。一馬はそういうこと言えないでしょ。」
「あぁ」


香奈子の提案に俺がぶっきらぼうに答えたので、きっと不機嫌になったと思ったのか香奈子は急に真面目な顔をする。

「まぁ、私がこうやって仕事も家庭も両立出来ているのも、その早朝出勤と、わざと19時には帰ってくれる本郷主任のおかげですからね」


そう言って、軽く頭をさげるから、なんだか気を遣わせてしまって申し訳なくて

「それ、俺のおかげっていうより、一昨年労基の指導があったからじゃねーの?俺が入る前まで、ブラック企業だったらしいじゃん」

「まぁ、9時の始業から18時の終業まで、バシッと集中して仕事してくれれば、問題ないから。それに、上司が帰らないと部下も帰りづらいだろう」


少し酔っているせいもあり、俺は本音に近いことをつい口走ってしまった。


「みんな言ってるよ。本郷主任の下は、確かに厳しいけど、働きやすいから頑張れるって。それに男性陣も憧れのリーダーだって言っていたの聞いたけど。」

「それ、残業しないで、みんな引き連れて飲み屋とかラーメンに行ってるからだろ」

俺が感動して、どう答えていいかわからないことを察した圭吾が、咄嗟にそう言って冗談を言ってくれる。


圭吾も香奈子もいつもこうだから、この家につい遊びに来てしまう。
 
< 24 / 282 >

この作品をシェア

pagetop