bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
コポコポとコーヒーを淹れる音を聞きながら、自分の中に混沌と渦巻いている余計な物を一気に吐き出すかのように私は息をはいた。
「集中、集中・・・」
自分にそう言い聞かせ、2人分のコーヒーをフロアに持って戻ると、本郷主任はものすごい勢いでタイピングしていた。
「コーヒー、どうぞ」
「ありがとう」
集中しているようで、私をちらりと見てそう言ったけれど、その後もそのタイピングの勢いは弱まらなかった。
本郷主任のタイピングのスピードに合わせて、私もタイピングをしていると急に仕事がはかどった。
日曜の午後の2人しかいないフロアは、やけに静かで二人のタイピングの音だけが響いている。
さっきまで1人でパソコンとにらめっこして全く集中できなかった作業も、自分でも驚くほど進んでいた。