bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
「失礼します」
涙がどうにか止まるころになって、医務室の扉が開く音がする。
頭から布団をかぶっている私は、きっと真っ赤になっている目が気になって布団から出ることが出来ない。
「安藤さん、俺、唯野だけど。開けるよ?」
そう言っていつもの優しい唯野主任の声がしてカーテンが開くのが分かる。
唯野主任はベッド端に腰をおろす。
「安藤さん、大丈夫?」
布団から少しだけ顔を出して頷くと、唯野主任はいつもの穏やかな優しい笑顔で微笑みかけてくれた。
自分だけこんな姿勢なのもなんだか申し訳なくて、そそくさと上体だけを起こす。
けれどやっぱり目の腫れが気になって俯いていた。
「なんかあった?」
私が黙って、首を横に振ると、唯野主任の大きな手が頭に伸びてきて2、3回頭を撫でられた。
「最近、仕事忙しかったもんね。安藤さんも頑張ってたからね。まぁ、女の子は体力ないから、仕方ないよ。今日は帰ってゆっくり休んだ方がいいよ。本郷さんには俺が伝えておくから。」
唯野主任があまりに優しい言葉を並べてくれるから、また涙がこぼれそうになって思わず唇をかみしめた。