bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
唯野主任は、そんな私に気付いたのか、距離を詰めてきて、優しく抱きしめられた。


唯野主任から柑橘系の香水の匂いがする。


あまりの出来事で抵抗も出来ない私の頭に唯野主任が手を回す。

何度も何度も、私の頭を撫でてくれる。


その手がやけに大きく感じて、心を落ち着かせてくれる。


唯野主任の胸の中でその優しさに目の奥がツンとして、ようやく止まった涙がまた溢れだしてきた。



「すみません」

「泣いていいんだよ」



そう言われて、座ったまま抱き寄せられていた私は唯野主任の左肩に顔をうずめて、涙をこぼした。


唯野主任は私が泣いている間、頭、そして背中、また頭と何度も繰り返し撫でてくれた。


少しだけ落ち着きを取り戻すことが出来た私は、頭をあげ、唯野主任の顔を見上げた。


「もう、大丈夫?」

そう優しく尋ねながら、男性にしては細長い親指で私の頬に残っていた涙をすくってくれた。



「俺、一回フロア戻るけど、昼休みに家まで送ってあげようか?」

とことん優しい唯野主任の言葉に、全てを任せ甘えてしまいたくなる。



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