青い春の中を、きみと一緒に。
 
「……、……」

「……」


でも結局、野球バカで脳ミソが筋肉の俺には当然ながら上手な聞き方なんて思いつかず、不自然な沈黙が俺たちの間に横たわる。

そうだ、紺野さんはたまにこういう空気を出すんだと思い出しても、もう遅い。


「……運動神経がよくないことなんて誰も責めたりしないって。だって祭りだよ?」

「だね。じゃあ、サッカーにも手を上げておけばよかったかもなぁ。フィールドの賑わいくらいには、なれたかもしれないもんね」

「賑わいって……。どんだけ運痴よ」

「へへ」


だから、苦肉の策として当り障りのないだろう会話でやり過ごし、俺の失言から不自然な沈黙までの時間をうやむやにした。


それからは、ぽつりぽつりと言葉を交わすのみで、さっきまでのような会話は難しかった。

主に俺がガンガン話しかけていただけで、それでも紺野さんも楽しそうに話してくれていたのに、彼女にとって体育祭は禁句だったらしい。

それだけ運動が苦手ということなのだろう。


やがて先に日誌を書き終えた紺野さんがそれを持って立ち上がると、いよいよこの偶然重なった放課後の時間に終わりが見えてくる。
 
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