青い春の中を、きみと一緒に。
今日は水曜日。
たまたま日直だから残っただけで、本来なら彼女はとっくに下校している時間のはずだ。
「ちょっと職員室行ってくるね」
「うん。……あの、鞄は? 持たないの?」
少しでも長く紺野さんと一緒にいられる時間を作りたいと思った俺は、必死に会話の糸口を探し、なんとか呼び止めることに成功した。
けれど、どうにも気ばかりが焦っていたらしい俺は、うっかり墓穴を掘ってしまう。
紺野さんが持っているのは日誌だけだ。
忘れているにしても、教室に取りに戻ってくるつもりでいるにしても、どうして鞄の話なんかしたんだ、「じゃあこのまま帰ろうかな」なんて言われたら一巻の終わりじゃないか……。
しかし紺野さんは、どこまでも可愛い人だった。
「ああ、うん。もし迷惑じゃなかったら、メンバー表作りを手伝わせてもらえたらと思って。2人でやったほうが早いでしょ? そしたら高橋くんは、そのぶん早く部活に行けるよね」
「そっか、ありがとう……」
「いえいえ」
すぐ戻るね、と言って廊下をパタパタと走っていく彼女の足音を聞きながら、俺はシュ〜と空気が抜けた風船のように机に突っ伏した。
ヤバい、本当にこれはヤバい。
こんなのもう、好きにならないほうがおかしい。