青い春の中を、きみと一緒に。
「あの、何かあった? ……つーか、何もなくても、俺でよかったらいつでも話聞くから」
「っ、」
その瞬間、ハッと息を呑んだ紺野さんの瞳がこれ以上ないくらいに大きく見開かれた。
直接的な言い方はしなかったけど、紺野さんには俺の言わんとすることが分かったのだろう、困惑しきった表情で俺の目をただじっと見つめてくる彼女から、どうしても目が逸らせない。
「紺野さんごめん、でも、俺はただ--」
「か、帰ります……!」
「あっ」
何倍にも濃度を増した気まずい空気に耐えかねて弁明しようとした俺の言葉を遮り、今にも泣きそうな顔をして紺野さんが駆けていく。
こんなときでさえ可愛らしく聞こえてしまう、パタパタという足音を響かせながら。
「っあー……、完全に嫌われたー……」
遠ざかっていく足音を耳に入れつつ、天井を仰ぎ見ながら、泣きそうな顔で走って逃げられるってつまりはそういうことだよな、と自分に問いかけ、確認するように声に出した。
俺はただ、紺野さんに笑ってほしかっただけ、気持ちを少しでも軽くしたかっただけだ。
それでも、そんな気持ちとは裏腹に、今さらながら腹なんて少しもくくれていなかった自分に気づいて、どうしようもなくなる。