青い春の中を、きみと一緒に。
 
前言撤回、今日はすっげー幸運な日だ。

だって、授業中に密かに応援されていたなんて誰が思おう、誰が想像しようか!

ノリセンに雑用を押し付けられなかったら、日直が紺野さんじゃなかったら、俺が自分の面倒くさい性分を言わなかったら……あらゆる偶然が重ならなければ、きっと俺は紺野さんがこんなに可愛い人だと気づくこともなかっただろう。


「ね、近くで作業してもいい?」

「……え、うん……いいよ」

「ありがと」


そうして、すっかり熱に浮かされた俺は、紺野さんともっと話したい一心で強引に彼女の近くの席に移り、メンバー表の続きに取り掛かる。

紺野さんは日誌を、俺はクラスメイトの名前を記入しながら、文芸部ってどんな活動をしてるの?とか、弁当けっこう大きいよねとか、そういった他愛ない話題をふっかける。

弁当のくだりでは「野球部ほど食べないよ、間食もしないし」と不服そうな言い方をされたけど、怒る顔さえ可愛くて、俺の心は幸せな気持ちでホクホクと温かくなる一方だった。

そんなとき、ふと目に飛び込んでくるのは、やはり《紺野由香》という彼女の名前だ。


「あれ、紺野さんは綱引きにしか出ないんだ? ほかの競技にも手を上げたらよかったのに」
 
< 8 / 30 >

この作品をシェア

pagetop