甘々王子にユウワクされて。
「ねぇ! ちょっと! 離してください!」
腕を無理やり引っ張ってぐいぐいと進んでいく。
篠田先輩に挨拶すらさせてくれない。
振り返ることも困難なスピードで歩いていく彼に転ばないようについていくのが精いっぱい。
そしてそのまま木林くんは、立ち止まることのないままいつものファストフード店へと歩いて行った。
「……ごめん」
ようやく解放されたわたしの手。
長袖だから見えないけれど、きっと赤くなっているだろう。
じんじんと弱い痛みが残る。
彼は手なれたように注文をし、数十秒で出てきたアイスティーとアイスコーヒーを持って席にわたしを案内してくれた。
はい、とアイスティーを差し出されても、素直に受け取る気になれない。
わたしは黙ったまま彼を睨むように見ていた。