ベビーフェイスと甘い嘘
乾杯から一時間ほど経った。
やっぱり邪な心だけでは飲み会というのは楽しめないものらしい。
だいたい、店長に興味がないのよね。
初花ちゃんのことは好きだし、あれだけイケメンイケメンと恋に浮かれている子だから、しあわせになって欲しいとは思っているんだけどねぇ……
さっきから恋愛系の話に花を咲かせているみんなをぼんやりと眺めながら、ぬるくなったビールを口に運ぶ。
結婚して子どもまでいる私は、この手の話の主役になることはまずない。
なるべく興味を持つ態度を崩さず、適度に質問したり相づちを打ちながらも、私は傍観者になることを決めた。
「付き合ってる人も、好きな人もいないんですー。初恋もまだなんで……」
唯ちゃんが頬を赤くしながら話している。
人の情報をペラペラと話してしまう、決して誉められた性格ではない子だけど、なんだか憎めないのは彼女が自分のことまでこんな風にさらけ出してしまうほど素直な性格だからなんだろう。
「え?好きな人もいたことがないの?」
さすがに18歳で初恋はまだってことはないんじゃないの?そう思って聞いてみたけど、
「はい。恋ってどんな感情なんでしょうねぇ」
逆にキラキラした瞳で見つめ返されてしまった。
……以外と純粋培養なのかもしれない。