ベビーフェイスと甘い嘘
九嶋くんの親しみやすくてどんな人とも仲良くなってしまう所は単純に凄いな、と感心してしまう。
子ども達ともあっという間に打ち解けてしまった。亜依は自分を可愛くしてくれたお兄さんに夢中だし、翔は一緒に出店を回る約束を取り付けて大喜びだ。
他人と馴染むのが苦手で思ったことを素直に口に出せない私には、その明るさが羨ましい。
「……おっかない妹さんだって言ってたくせに」
悔し紛れにそう口に出したら、「ちょっとねーさん。もう、黙ってて」と慌てる様子もなく、さらっとたしなめられてしまった。
『もう、黙ってよ』
その一瞬、九嶋くんと同じような言葉を口にした直喜の苦しげな表情を思い出した。
私は彼にどういう態度を取ればよかったのだろう。謝ればいいのか……そもそも何でそう言われたのかも分からない。
私が芽依や九嶋くんみたいに……ちゃんと人の気持ちを分かってあげられるような人だったら、直喜のことをあんなに怒らせずに済んだのかな。
「はい、できたよ」
ぽん、と九嶋くんに肩を叩かれて意識が引き戻される。
「きゃー、茜ちゃん可愛いっ!立って、ポーズ取って!」
興奮気味の芽依に押されて鏡の前に立つと、普段の自分ではない自分がそこに映っていた。