ベビーフェイスと甘い嘘
そんな冷たい様子の九嶋くんに気がつかないはずがないのに、奈緒美ちゃんはニコニコと笑顔で話しかけている。
「ねぇ、チヒロちゃんは元気なの?たまには連絡ちょうだいって智晶ちゃんからも言ってね。今、茜さんのお子さんと一緒にいたよね?じゃあ、智晶ちゃんは今もコンビニにいるんだよね?そうでしょ?直喜ちゃんとは会わないの?」
「……俺がコンビニにいたからって何なの?しかも直喜が来るのって午前中でしょ?俺は、いない」
「たまには『ウサミ』に顔出してあげて。……勇喜も会いたがってるの」
「行かない。コンビニにも絶対来ないで。もし姿見せたりしたら、また辞めるから」
堂々巡りの会話に見かねた直喜が強引に割り込んだ。
「奈緒ちゃん……もう止めなって。智晶さんもごめんね。……久しぶり」
「あぁ、久しぶり。お前は、相変わらず奈緒美さんと仲良しなんだな」
馬鹿にしたように口の端だけ持ち上げて笑う九嶋くんと、固い表情をした直喜を交互に見る。
二人は『still』で会っている。連絡だって取り合っているはずなのに、どうして隠すように久しぶりだと挨拶をしているんだろう。