ベビーフェイスと甘い嘘

「今更そんな事言ってもしょうがないでしょ?」

そんな沈黙を破ったのは直喜だった。そのまま翔のほうに顔を向けると優しく微笑む。

「えっと、カケルくんだっけ?」

「うん」

「智晶……ちゃんはね、ちょっと具合が悪くなっちゃったんだ。ヨーヨーつりって確かこっちにあったよね?おにーさん達、今から下に降りるから、みんなで一緒に行こうよ」


「つれてってくれるの?!」


翔がやった!と喜ぶ。


「よかったー。ママだけだとまいごになっちゃうもん。みんなでいこうね!」


「ちょっと……翔!」


かなり恥ずかしかったけど、翔の言葉にみんなが笑ってくれたので、また和やかな雰囲気が戻ってきた。


「茜ちゃーん、翔くんにまで方向音痴ってバレてんの?」

「不思議だよねぇ、本だったらどこに何があるのかすぐに見つけられたのにね」


「もぅ、裕子姉さんったら!千鶴ちゃんまでバカにして!」

「へー、茜さんって方向音痴なんだ」

くすくすと直喜にまで笑われてしまった。

って、あれっ?今、直喜に名前で呼ばれたような……


「あっ!直喜ちゃん!さらっと茜さんのこと名前で呼ばないの!」

気がついた奈緒美ちゃんが直喜に注意をした。

「いいじゃん、みんな名前で呼んでるんだから。俺も茜さんって呼びたい。ね、いいでしょ?」
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