ベビーフェイスと甘い嘘

「……お店で呼ぶのはやめて下さいね」

「じゃあ、今はオッケーってことですよね?茜さん。俺のことも直喜でいいですよ。あと、敬語もナシね」

「……分かった」


私達が実は知り合いだったってことをみんなに知らせつつ、うっかり普段のように(たぶん私が)名前で呼んでしまっても大丈夫なように『名前で呼びましょう』と会話の中でさりげなく流れを作った。その頭の回転の早さには驚いてしまう。


「もー、直喜ちゃんは軽い。軽すぎっ」


さっきまでしゅんとしていた奈緒美ちゃんまで直喜のことを注意した途端に、なんだか元気になったみたいだし。


こうなることまで計算していたとしたら、この人はほんとに恐ろしい人だと思う。



「カケルくんも『ナオキ』でいいからね」

「うん。じゃあ、ナオキも『カケル』でいいよ」

「おー、ありがとカケル。じゃあ、今から俺達友達なー」


母の複雑な気持ちを知ることもなく、出店に向かううちに翔は直喜とすっかり打ち解けてしまっていた。

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