ベビーフェイスと甘い嘘

そっと翔の手を繋いで「ねっ、行こう」と言うと、ぐすぐすと鼻をすすりながらも、ようやく立ち上がった。


「あー、待って茜さん。俺も一緒に行くよ」


そのまま「ごめんね、またね」と言って立ち去ろうとしたら、直喜に声を掛けられてしまった。


「直喜……くん。いいよ、悪いよ」


「直喜ちゃん!何考えてるの?!直喜ちゃんが行くなら私も行くからね!」


油断も隙もないんだから!と奈緒美ちゃんが慌てて直喜を引き止めた。


……ここまで義理の姉に信用されていない弟って、どうなんだろう。


「奈緒ちゃんこそ何考えてるの。道に迷うかもしれないって言ってる可愛い子と綺麗なお姉さんを、俺がほっとけるワケないでしょ。……今日は特に綺麗なんだから」


「直喜ちゃんはほっとく位でちょうどいいの!やっぱり私も一緒に行く!」


「奈緒ちゃんはもう帰んなきゃダメ。お腹、また張ってきてるんでしょ?奈緒ちゃんに無理させたら俺、勇喜に殺されちゃうよ」


「じゃあ私達が……」


進まない会話にそれなら、と言った裕子姉さんの言葉にも直喜は笑顔で返した。


「裕子さんも千鶴さんも勇喜が送っていく約束してましたよね?俺はいいんです。ここからなら歩いてでも帰れますし。代わりに奈緒ちゃんのこと、頼みますね」

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