ベビーフェイスと甘い嘘
「はぁー、ヤスさん……まずさぁ、頭の中で言いたい事整理してから話してよ。ちゃんと説明するから」
頭を抱えながらうーんと唸っているヤスさんを見て、落ちついた大人の人という初対面の時のイメージが、一気に崩壊した。
なかなか質問できないヤスさんを見て直喜は「ヤスさん、ほんと、めんどくさい」と言って勝手に話始めた。
「えっとね……この人は、柏谷茜さん。智晶さんと同じコンビニで働いてる人。『still』に連れて行ったのは、あの智晶さんに会わせたかったから。たぶん茜さんは智晶さんのこと理解してくれるって、そう思ったんだよね」
「いや、だって……お前、彼女のこと口説いてるって言ってただろ。嘘ついたのか?」
「いきなり智晶さんに会いに来たって言ったら、ヤスさん警戒したでしょ?」
「それはそうだけど……嘘つくことないだろ」
「口説いてるっていうのが、あの場だと自然だと思ったから。……まあいいや。ヤスさんが今いちばん気にしてんのは、この子でしょ?この子は茜さんの子どもだよ。智晶さん、今日は茜さんと一緒にここに来てたんだ」
「私の妹と、妹の子どもも一緒でしたけど……九嶋くんが誘ってくれたんです」
私の言葉にヤスさんが驚いていた。
「あいつが行こうって言ったんですか?」
「はい。みんなで一緒にって。この浴衣も子どものも、全部用意してもらいました」