ベビーフェイスと甘い嘘
「あぁ……」
図書館を横目に通りながら、商店街のアーケードへ向かう途中で、ふと直喜が足を止めた。
「この道ってさ、図書館の裏手に行けるよね」
「そうだよ。よく知ってるね。……懐かしいな」
直喜が指差したのは、図書館の裏手に続く小道だった。
そこには職員用の通用口があり、4年間通った懐かしい道だった。翔が産まれてからは忙しくて、しばらく図書館自体も訪れていなかった。
「俺にとっても懐かしい道なんだよね」
「……そうなんだ」
通ってたことでもあるのかな?
私の記憶に無いってことは、奈緒美ちゃんが勤めてからの事かもしれない。
「昔……ここで働いていた人で、気になってた人がいたんだ」
「えっ……?」
「……その人はね、いつもニコニコして、どんな小さな仕事も率先して引き受けてた。自分の仕事を引き継ぐ後輩も入ったから人数には余裕があるはずなのに……先輩達がどんなに心配しても、大丈夫です!この仕事が大好きだから最後まできちんと働きたいんですって言って、小さな身体であっちこっち動き回っててさ」