ベビーフェイスと甘い嘘

「俺ね……今日、茜さんに会う前に神社の上のほうで茜さんのこと見つけてたんだ。智晶さんや子ども達と一緒に茜さん、楽しそうに笑ってた」


「良かったって思ってホッとして……俺は茜さんを泣かせてばかりだから、やっぱりこのまま会わないほうがいいのかもって、そう思った」



「でもさ、花火が始まった時、みんなが見てないとこで茜さん泣きそうな顔になってた」


隠していた秘密を知られたような恥ずかしさに、顔が熱くなる。まさかあの瞬間も直喜に見られていたなんて……。


「必死に涙を堪えて、悲しそうに顔を歪めてさ。なのに誰も気がつかなくて……智晶さんも、他のみんなも何で気がつかないんだよ、って一人で苛ついてたんだ」



そう言いながら、直喜がそっと手を伸ばして私の頬に触れる。


「あんなに必死に涙を堪えてたのに、俺の前だと茜さんは泣いちゃうんだね」


細くてしなやかな指先が、そっと涙の痕を辿った。


「ねぇ、茜さん……この前のこと、怒ってる?もう俺のこと嫌いになっちゃった?」


嫌いになったとか、そういう事じゃない。


あの時は直喜がどうして怒ったのか全然分からなかったから、ただ驚いてしまっただけだ。
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