ベビーフェイスと甘い嘘
「ねぇ、このコーヒーって、本当はセルフサービスなの」
「うん。知ってるよ」
「この店は……お年寄りの方も多いから代わりに淹れることもあるけど、直喜には必要ないと思うんだけど」
ちょっとだけでも会話できるこの時間が嬉しいくせに、こんな可愛くないことを言ってしまうこの口が憎い。
ほんと、最近は嘘か憎まれ口しか喋ってないんだから、この口は。
「……分かってないなぁ。コーヒーなんて口実に決まってるでしょ」
「口実だったら、他にいくらでも若くて可愛い子がいるでしょ?残念だったね。私しかいなくて」
こんなの、ただ若い子に嫉妬してるだけだ。
恥ずかしくなって、思わず直喜から顔を思いっきり背けてしまった。
そんな私の様子を見て、なぜか直喜はクスッと笑った。
「分かってないフリ?……茜さんって、ほんと可愛い」
「……なっ……っ」
だって……直喜の言葉だけ鵜呑みにしたら、私に会いに来ているんだよって言われてるようなものでしょ。
さすがにそこまで自惚れる事はできない。