ベビーフェイスと甘い嘘
左側の頬が熱い。
続いて、じんじんと響くような痛みを感じて、始めて修吾に頬を打たれたのだと気が付いた。
「……ふざけるな。誰の言いなりにもならない?ただ唆されてるだけだろ?」
「誰だ?余計な事を吹き込んだのは。……そうか、翔に聞けばいいんだよな。お前の言う通り、人の口に戸は立てられないからな」
「…………」
夏祭りに一緒に行ったのは、芽依と亜依だけだと既に修吾には嘘をついている。
九嶋くんに迷惑がかかるかもしれない……
そう思って一瞬だけ動揺した私の表情を、修吾は見逃してはくれなかった。
「何動揺してるんだ?……やっぱりやましいことがあるんだな」
口の端を歪めて笑う。
確信めいたその表情に、妙な違和感を感じた。
「お前が一人で生きていける訳がないだろ。……黙って俺の言うことを聞いてればいいんだよ」
そう言いながら近付いてきた修吾に、また叩かれると反射的に身を引いた。
……逃げなきゃ。
そう思ったのにすぐに腕を掴まれて、床に引き倒された。
「きゃっ!……あっ」
痛みを感じる間もなく、倒された身体の上に修吾がのし掛かかってくる。
「灯のことだって……愛してるからどうだって言うんだ?俺にはやましい事なんて無いんだよ。お前こそどうなんだよ?どうせ、そいつと寝たんだろ?」