ベビーフェイスと甘い嘘
芽依がいてくれて良かった……
翔を芽依にお願いできたことにホッと安堵の息を吐く。
いつものお盆だと拓実さんの実家に行って、それから私達の実家に向かうから、この日に芽依が自宅にいることはない。
あ、安心したらますます身体が怠くなってきた……
今日の相方は店長だったなぁ。
……こんな日についてない。
何とかコンビニの駐車場までたどり着くと、ギシギシと軋む身体を引き摺るようにして、店へと足を踏み入れる。
業務開始まで10分以上も時間があるのに、店長はもう店に入っていて、九嶋くんに何か申し送りをしていた。
「おはようございます」
挨拶をして二人の前を通り過ぎると、二人とも、ぎょっとした様子で私のことを見た。
……どうしたの?
あっ、眼鏡をかけてるから、私だって分からなくて驚かせちゃったのかな?
スタッフルームに入り、入り口の鏡に目を向けると、目の前の景色が一瞬グニャリと歪んで見えた。
「ねーさん!」
いきなり耳元で声がして驚く。
気がついたら、九嶋くんに肩を支えられて辛うじて立っている状態だった。
「……くしま……くん?」
「大丈夫?ねーさん」
追いかけてよかった……と言いながら、はぁ、と九嶋くんは息をついた。
どうやらふらついた所にちょうど九嶋くんが来て、身体を支えてくれたようだった。