ベビーフェイスと甘い嘘
……それで?
どうして引き留められたんだろう。
一瞬だけ見とれてしまっていた自分を不思議に思いながら、九嶋くんを見上げた。
「やっぱり、まだちょっと目立つね」
ちょん、と左頬をつつかれた。
「コンシーラー塗ってきたんだけど……」
「ねーさん色白だから、これだと色が浮いちゃうよ。どーせ芽依さんから借りたんでしょ?」
「うっ……」
全くその通りだった。
「これ使いなよ。顔も使えるから。さっきみたいにうすーく伸ばすんだよ。それと……あと……あのさ……」
どうしたんだろう?
急に歯切れが悪くなった九嶋くんに首を傾げる。
「ここも、隠したほうがいい」
クリームの乗った指が、すーっと伸びてきて首筋に触れた。
髪の毛に隠れそうで、ぎりぎりで隠れないその場所は、自分の目では『それ』があることを確かめられない所だった。
……つけられてたんだ。
「芽依さんも気がつかなかったんでしょ?ねーさんと同じくらいの身長だもんね」
「ありがと。気を付けるね」
隠してもらったし、このまま制服を着たら、たぶん目立つことはないだろう。