ベビーフェイスと甘い嘘
何か遠征の試合でもあるのか、ジャージ姿の子ども達やその親達が飲み物やお弁当を次々にカゴに入れている様子が見えた。
今日は忙しくなりそう……慌ててレジに駆け寄り、休止中のレジを立ち上げた。
「次にお待ちのお客様、こちらのレジにどうぞー」
「お待たせしました」
呼びかけてレジに誘導して、次々と並ぶ人達の対応に追われるうちに、さっき九嶋くんが何か言いかけたことや、後で聞こうと思っていたことまで頭の中からすっぽりと抜け落ちてしまっていた。
***
『仕事が終わり次第、私かオーナーの携帯に連絡をください』
仕事終わりに、そんなショートメールが届いていたスマホをぼんやりと眺めて、既に10分が経過していた。
予想通りの忙しい勤務を終えて、ぐったりと疲れた私をさらに疲れさせるような、こんなメールを送信したのは店長だった。
普段店長とは、こんな風に連絡を取り合うほど仲良しじゃない。
何を聞かれるんだろう……いや、この前の事に決まってるけど。
これからの事を考えて、さらに憂鬱な気持ちになった。
『私かオーナー』って書いてるけど、何の着信も残さずにオーナーに電話をしたら、さすがに感じ悪いよね。
覚悟を決めてアドレスから『相澤店長』を探して、通話をタップした。