ベビーフェイスと甘い嘘

直喜は嘘つきだから……きっと奈緒美ちゃんの前では気持ちをずっと隠してきたんだろう。



本当に好きな人には気持ちを伝えずに、私には甘い嘘をつく。



…………それでも良かったんだ、私は。



哀しい涙に溺れるくらいなら、気持ちに気がつかないふりをしてひたすら甘い嘘に溺れていたかった。



私達は、嘘つき同士意地を張り合っているだけなのかもしれない。



不利なのは、ほんとうに直喜に惹かれている私のほう。



だから……『好きだよ』なんて絶対に言わないから。



直喜が私のことを好きじゃないのは知ってる。でも私は、そばにいたいって、そう言ってくれた直喜の甘い嘘を信じるふりをして利用する。



私は、あなたと一緒にいたい。



……だからこれからも嘘をつく。
< 322 / 620 >

この作品をシェア

pagetop