ベビーフェイスと甘い嘘

***

『pastel』を出てマンションに戻った時には、13時を回っていた。


すっかり話こんでしまった。翔のお迎えまであまり時間がない。


家の中には戻らずに郵便物だけチェックしようと、エントランスの中にあるポストに手をかけた。



「……また来てる」


いくつかのダイレクトメールに混じって、真っ白で何も宛名の書かれていない封筒を見つけると、思わずため息が出た。


縁を軽く押さえて、手紙以外の何か危険なものが入っていないかどうかチェックする。


何も引っ掛かりが無いことを確かめて、その場で封筒を開けた。


中身は真っ白な紙が一枚だけ。



その真ん中に『男に媚を売っている汚い女』と印刷された無機質な字が書かれていた。



オーナーの所有するこのマンションに移り住んで二週間も経たないうちに、この封筒がポストに入れられていた。



以来2、3日おきにこうして手紙が入っている。
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