ベビーフェイスと甘い嘘

***

「はい、これでいいよ。あとこのままで明日まで置いといて。止めた所が乾いたらもう大丈夫だから」


「ありがとう。何だか九嶋くんってドラえもんみたいだね」


「……それ、どういう意味?あんまり嬉しくないんだけど」


褒めたつもりなんだけどな……と思いながら、コーヒーをテーブルの上に置いた。


そのテーブルから少し離れた所にある作り付けの棚の上に、今朝壊れた眼鏡が折れた部分が、目立たないよう綺麗に直された状態で置かれていた。


車を降りてから九嶋くんは「ちょっと寄らせてもらってもいい?」とうちに上がりこんで、持って来たカバンの中から何やら色々と道具を取り出して、あっという間に眼鏡の折れた部分を繋ぎ合わせてしまった。


さっきすぐにカバンから冷却シートを取り出してくれた事といい、困った事があるといつも察して助けてくれる所も、頼りになる所も……似てるなって思ったから言ったんだけど。


「これから翔のこと迎えに行くんだよね?スペアの眼鏡は持ってる?」


うなずいて棚の引き出しから、眼鏡ケースを取り出した。

マンションに荷物を取りに行った時に持って来ようか迷ったけど、一応持って来ておいてよかった。


「折れた眼鏡見ながら相当ショックな顔してたもんね。奈緒美さんが色々と話してたこと、最初はほとんど耳に入って無かったでしょ?」


「うん。……この眼鏡気に入ってたから直してもらって嬉しかった」
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