ベビーフェイスと甘い嘘
「……茜ちゃん。そんな泣きそうな顔されたら気になってしょうがないわ。何か言いたい事があったら言っちゃいなさいよ、ねっ」
コツンコツンとテーブルにビール缶を当てながら、千鶴ちゃんが上目遣いに視線を向けてきた。
……見抜かれた?意味ありげな視線に少しだけ心臓がドクンと跳ねる。
「酔ってるから明日には忘れちゃってるかもしれないけどね。だから、ここだけの話にしてあげるから、さっさと言っちゃいなさい」
なんて笑いながら話す千鶴ちゃんの横で「……いや、私はシラフだから忘れないし流さないし、茜ちゃんの事悲しませたり不幸にするヤツは誰であろうと絶対に許さないけど」と冷静に芽依が突っ込んだ。
そのやり取りにクスッと笑うとちょっとだけ心が軽くなって、気がついたらもやもやしていた気持ちを吐き出してしまっていた。
「あのね……うちのコンビニで一緒に働いてる人が言ってたの。宇佐美兄弟は『兄弟そろって遊んでる』から有名なんだって。だから気をつけてねって……何にも無かったらそんな事言われないんじゃないかと思って」
私の言葉に、千鶴ちゃんは分かりやすく眉をひそめて不機嫌な表情になった。
「うーん……遊んでるかどうかは抜きにして、勇喜くんと奈緒美ちゃんってね、中二から付き合って一回も別れないで結婚したらしいよ。直喜くんの事は分かんないけど、彼だって遊んだりする暇なんか無かったはずよ」