ベビーフェイスと甘い嘘

戻ってきて早々、俺に一曲弾かせようと言ってくる親戚がうるさいので、結婚式を会費制のガーデンウェディングに変更した事を父から聞かされた。


「お前がいるから、勇喜も奈緒美ちゃんも気を遣うんだ。二人の事を思うんだったら、智尋くん達のように最初っから結婚式に出ない方がまだましだ」


身内だから式に出さない訳にはいかない。だが、お前がいると二人に迷惑がかかる。適当な所で帰れと言われて……


そんな立場で、俺は今この場にいる。


俺は、どんな顔をしてここにいればいいんだろう。


それでも勇喜と奈緒ちゃんの友達は俺を見かけると次々に「おめでとう」と俺にも声を掛けてくる。


心から「おめでとう」という気持ちで声を掛けてくれる人もいるけど、あからさまな好奇の視線を向けてくる人もいる。


「おめでとう」、か……


俺がめでたい訳じゃないのにな。


しいて言うなら、いたたまれない。


このしあわせばかりが溢れた空間に、俺の居場所は無いんだ。


居心地の悪さに耐えきれず、思わず目を反らすと、少し離れた式場の建物のガラス窓に自分の姿が映っているのが見えた。


窓の中の自分はとても暗い目をしていた。


悲しそうにも見えるけど……どこか苛立ちを隠せない。そんな目の色だった。
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