ベビーフェイスと甘い嘘
覚悟はしてたけど、今だってその視線だけで射抜かれそうなくらい鋭い目付きで睨まれている。
……アカネさんの前じゃ絶対に見せない顔だよな。
「しょうがないよ。電話なんて本当に出る暇無かったし。アカネさんが金曜日にデートがしたいって木曜日の夕方に突然言うんだもん。元々金曜日に用事があったから日中も休んだのに、夜も出掛けたから、俺今週いっぱい休ませてもらえなかったんだからさー」
「『言うんだもん』じゃねぇよ。なに可愛く言ってんだ、アホ。自業自得だろうが。お前、身内の結婚式でお持ち帰りとかって……何考えてんだよ。そんなキャラじゃねぇだろ」
「大体、バレたら困るのはお前だろ?ねーさんだったから良かったけど……もしお前と寝たって事を言いふらしたり、最悪マスコミに売るようなバカ女だったらどうする気だったんだ?今だって突然仕事キャンセルしてこんな生活してるから、ある事無い事言われて散々叩かれてるんだろ?後々面倒な事になるってちょっと考えたら分かるだろうが。迂闊な事をすんなよ、バカが」
……智晶さん、アカネさんにもこんな勢いで話かけたのかな?
アカネさんは、智晶さんのことを今まで絶対に良い人だと思っていたはずだから、びっくりしただろうな。
この人は心の中で悪態をついていても、顔だけはニコニコと親しみやすい笑顔を作れる人だ。
……本心を隠してるって点では、二人とも似たようなもんだけどね。
なんて考えながらぼんやりとしていたら、ギロリとまた睨まれた。