ベビーフェイスと甘い嘘

今朝、アカネさんから一言だけのLINEが届いていた。


ーー『後で覚えてなさいよ』


前に智晶さんが送ってきたLINEとほとんど同じ文面で、思わず吹き出してしまった。


こんなに似ている二人が本性を隠して同じ場所で働いているなんて、ほんと面白すぎる。



「ん?ちゃんと教えといた。名前は、宇佐美直喜。ねーさんが出た結婚式の新郎の弟だって」


「……全然ちゃんとじゃないじゃん」


何だ、それ。テストだったら50点もいかないって。


不満気な顔を見せると、智晶さんはくりっとした大きな目を細めて、ククッと意地悪く笑った。


「散々人の事振り回しといて、肝心な所を人に頼るなよ。そのくらい、自分で言え」


「『僕はそこそこ有名なピアニストです。ファンからは王子なんて呼ばれてキャーキャー言われて調子に乗ってました。だけど突然ピアノが弾けなくなって地元に逃げ帰って来て、現在は家事手伝いもまともにやらせてもらえない情けない身分です』 ……ってな」

< 500 / 620 >

この作品をシェア

pagetop