ベビーフェイスと甘い嘘
「ひどい言われようだね」
「何か間違ってんのか?元王子」
そこまで言われてしまうと、もう苦笑するしかない。
……黙ってれば可愛いのに、ほんっと中身は可愛くないな。この人は。
「ねーさん、ほんと何にも知らなかったぞ。……あの人、興味の無い事には徹底的に無関心なんだよ。だってさ、俺の名前トモアキだって思ってたんだぞ。3年も一緒に働いてんのに。しかも、俺の事オネェ扱いするし……ムカついたから今度メーク教える事にした。あの中途半端な化粧、絶対に矯正してやる……」
ムスッと口を尖らせてぶつぶつと不満げに話す智晶さんに、今度は込み上げる笑いを押さえるのに必死になった。
だから興味の無い事に無関心なのは、智晶さんも一緒なんだって。
その中途半端だって言ってるメークを、三年も見てるくせに放っておけるくらいなんだから。
……アカネさんと智晶さんが仲良くなれたら、たぶんお互いのプライベートな部分まで打ち明けられるいい友達になれるんじゃないかな。
そこまで考えた時、胃の奥が一瞬だけぐっと縮むような変な違和感を感じた。
……疲れてるのかな。今日までずっと忙しかったから。
イップスになった時に散々反省した事なのに、また俺は違和感を気に留めずに放置してしまった。
この違和感の正体に気がついた時には、もうどうしようもないくらいの事態になってしまっていたんだ。