ベビーフェイスと甘い嘘
「うん。残念だね。会いたかったな」
だから、何でも無いように言葉を返す。
「直ちゃん、短冊は書いたかい?」
今サンキューマートの店先には、商店街の七夕のイベント用にやたらと大きな笹竹が飾ってある。
そう言えば、茜さんは短冊に『いろいろな事に興味関心を持つ』って書いてたっけな。
興味の無い事に徹底的に無関心な茜さんがそんな事を書くなんて、よっぽど俺や智晶さんとの事がインパクトがあったんだろうな、って思ったら可笑しくて、可愛くて……ちょっとだけからかいたくなっちゃったんだよな。
その時、思わず店の中なのに茜さんを抱き締めちゃったのも、いつも俺がこのベンチから茜さんの様子を見ていたのも、この人は全部知っている。
てっきり言いふらされるかと思ったけど、こんな風に会うたびに声を掛けられて……結局噂にされるよりも、もっと面倒な事になっている。
「源さんはもう書いた?」
「あぁ。俺の願い事は『100歳まで生きる』だよ。……どうだい?」
「願う必要ある?絶対大丈夫でしょ」
「バカだねぇ。人生何が起こるか分からないんだ。だから、俺が100まで生きて可愛い孫達のしあわせを見届けるんだよ。……ま、大きい孫は好い人見つけたみたいだけどねぇ」