ベビーフェイスと甘い嘘
そう言って源さんは店の中を指差した。
このベンチに座っていると、店の様子がよく見える。
カウンターの中では、アイザワさんと店長さんが何やらギャーギャーと言い合いをしている様子が見えた。
「ははっ。仲良しだね。……羨ましい」
無意識に、ポツリと溢れ落ちるように出てきた『羨ましい』という言葉に内心ドキリとした。
アイザワさんと店長さんが羨ましい訳じゃ無い。
源さんがアイザワさんの本当のおじいさんじゃないのは、この辺の人ならみんな知っている。
アイザワさんが、本当の家族から勘当されたってことも。
そういう噂は、殆どウチの店で買い物をしている人達から出回っているから。
アイザワさんは、そんな風に噂されている事を知っていても『ウサミ』に来てくれるし、俺にも屈託の無い笑顔で話しかけてくれる。
彼女のそういう所は、源さんによく似ていると思う。
血が繋がっていなくたって、家族のような関係を築くことができる。……それが、羨ましい。
地元に戻って来てから他人の好奇の視線に晒される事に疲れ始めていた俺は、コンビニに行く時は必ずここにしようと決めていた。
夜は智晶さんがいるし、日中は彼女がいる時に入ればいいんだなと思って、ここから店の様子を伺っていたら……
茜さんを見つけたんだ。