ベビーフェイスと甘い嘘
……この人は『家族』を守る事にしか、関心がないのか。
……どんなに近づいても、自分はこの人にとって『興味が無い』ものなのか。
……俺は望んだものを『また』手に入れられないのか。
息苦しいほどの戸惑いと、目の前が暗くなるほどの混乱がせめぎ合う。
心の奥底から沸き上がってきたものは、怒りの色をした強烈な嫉妬だった。
繋いでいた手を引っ張って、無理やり小路から離れの裏手へと引きずり込んだ。
身体を壁に押し付けて、驚きの表情で何か言おうとしていたその唇を塞ぐようにキスをした。
……もうこれ以上、嘘なんかいらない。聞きたくない。
茜さんは自分の心にだって、興味も関心も持っていない。
自分の心に向き合わずに唇から溢れる言葉は嘘ばっかりで、心をずっと裏切ってるから知らないうちに涙が出てくるんだよ。
自覚が無いから、余計に達が悪いんだ。
今だって、ほら、そんなに戸惑った顔をして真っ赤になってるくせに……濡れた唇を拭いもせずに、無意識に俺を誘ってる。
「どれだけ自分が無自覚で無防備かって……ちょっとは思い知ってよ」
……そして、目の前にいる俺の事を少しは意識して欲しいんだ。