ベビーフェイスと甘い嘘
雪面を踏みにじり跡を残すように、その白く無防備な肌を引き寄せて首筋に唇を付けた。
軽く音を立てて吸い付くと、「んっ……」と身を震わせて艶っぽく喘ぐ。
少しだけ困らせてやろうと、俺を意識してもらおうとして触れただけだったのに、そんな理性はあっという間にふっ飛んで、俺は次第に行為自体に溺れていった。
……もっと触れたい。
もっともっと……このまま……
***
溺れていた意識を引き戻したのは、茜さんの涙だった。
「……ひっく」
しゃくりあげる声に驚いて顔を上げると、俺を見下ろす茜さんの目元から幾筋もの涙が頬を伝って滴り落ちていた。
頭から冷水をかけられたように興奮は冷めて、泣かせてしまった罪悪感が胸に広がっていく。
「……ずるい」
そう言って身体を離したのは、茜さんに『泣くなんてずるいよ』という気持ちで言ったのか、『あなたの優しさにつけこんで、こんなずるい俺でごめんなさい』という気持ちで言ったのか……
確かに自分の口から出た言葉なのに、どういう意味で言ったのか分からなかった。