ベビーフェイスと甘い嘘

「茜さん……」

唯ちゃんが眉を寄せながら、私を見つめていた。


「……ごめん。何でもない」


咄嗟に口ではそう答えていたけど、心臓はドクドクと激しく脈打っている。



『最近血圧がちょっと高いんだよなぁ。ま、無理はしないようにしてるから、大丈夫だ』


ーーちっとも大丈夫じゃなかったのに。


父親の時と同じ。シグナルは目にしていたのに、気がついてあげることができなかった。


『……そうだなぁ、倒れたくなったら初ちゃんよりも茜ちゃんのほうに受け止めて欲しいなぁ。どーんと受け止めてくれるかい?』


ーーそう言ってたのに。



『こっちに倒れて来たって、絶っっ対に受け止めませんからね!!』


私がこんな風に言ってしまったから、源さんは無理して堪えて後ろに倒れてしまったのかな……


おかしいと気がついていたのに、自分の目の前で倒れたのに……


源さんを受け止める事ができなかったのが悔しい。


せめてこちら側に倒れてくれたなら、頭をかばうことだけはできたのに。

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