ベビーフェイスと甘い嘘

「……大丈夫?」


どうして直喜がここにいるの……?


「驚かせてごめん。立てる?」


もう二度と話せないかもしれないと思っていたのに……


急に現れるなんて、ずるい。


あんなに話したいと思っていたのに、いざこうして目の前に現れると、頭の中身が全部飛んで行ってしまったみたいに全く言葉が出て来ない。



「…………迷惑だった?」


黙ったままの私を見て怒っていると思ったのか、直喜はしゅんとした表情になった。


確かに驚いたけど迷惑なんかじゃないし、差し出された手を握り返せないのは直喜に触れたくないからじゃない。



「ちっ、違うの…………あの…………………こしが……」


「えっ?」


「…………腰が抜けちゃった……みたい」


本当はすぐにその手を取りたい。


立ち上がって話をしたい。



「……立てないの?」


「……うん」



「掴まるのも無理?」



「足に力が入らなくて……」



直喜と話せて嬉しい。けど、こんな状況でなんて、恥ずかしいし情けない。


頬が、耳がカアッと熱を持つ。


たぶん私の顔は真っ赤になっているはずだ。


そんなみっともない顔を見られたくなくて、思わず俯いてしまっていた。
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