ベビーフェイスと甘い嘘

「そんなに読めない?あいつは結構素直なヤツだよ。ナオキがねーさんにそこまでこだわる理由は分からないけど、涙をとめてあげたいって言った気持ちは、何となく分かるかな」

「えっ?」

「あんな風にずっと一人で泣いてるのかなぁって思ったら、ちょっとほっとけないもんね」


あの日はナオキ以外知っている人がいないと思ってたから、ちょっとだけ弱い部分が出てしまったのだ。まさか、普段の自分を知っている人に見られるなんて、思いもしなかった。


「……あれは九嶋くんの歌を聴いたから。シンパシーとか、そんな感じ」



涙を見られたのが恥ずかしくて、あなたの歌が悲しい声だったから。そう嘘をついた。


「……俺のせい?」


ねーさんって結構嘘つきだったんだね、とあっさりと九嶋くんは私の嘘を見抜いた。


「ま、いいや。ナオキの事で何かあったら教えて。振り回さないようにって釘を刺しとくぐらいはできるよ。俺もあいつには言いたいことが山ほどあるし」

そうだ。よく考えたら、何だかんだで九嶋くんを巻き込んだ形になってしまった。

申し訳なくなって「……何か、ごめんね」と言うと九嶋くんはフフッと優しく笑った。


「何でねーさんが謝るの。勝手なことしたのはナオキでしょ」
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